小室圭さんのおかげで一気にアメリカ弁護士資格が注目を集めていますね。この記事では、アメリカの司法制度や弁護士になるための方法などについて説明したいと思います。
アメリカの司法制度
そもそも「アメリカ」の弁護士資格というのは実はありません。アメリカは、各州がそれぞれ小さな国のような構成になっており、それらが集まった「合衆国」として一つの大きな国があるという制度になっています。法律も合衆国で共通の法律、つまり連邦法(Federal Law)もありますが、州ごとに定められた法、つまり州法(State Law)もたくさんあります。むしろ、契約に関する法律のように身近な法律は州法だったりします。
ですので、「アメリカ」の弁護士資格というものはなく、あくまで各州の弁護士資格があります。小室圭さんが受験されたのはニューヨーク州の司法試験(Bar Exam)で、合格するとニューヨーク州弁護士になることができるということになります。
なお、メディアなどでたまに「国際弁護士」という名称が紹介されていることがありますが、国際弁護士という資格はありません。一般的には日本と外国の弁護士資格の二つを保有している方が国際弁護士と呼ばれたりしていますが、決まった定義がある訳ではありません。八代英輝先生は日本とニューヨーク州弁護士資格を保有しているため国際弁護士と言われているようです。昔よくテレビ出演されていた湯浅卓先生は、Wikipediaによればニューヨーク州とワシントンD.C.の資格の保有者のようです。ここでは日本人だけどアメリカの資格を保有して国際的に活躍されているという意味で国際弁護士と言われているようです。
ニューヨーク州弁護士が多い理由
アメリカには50州もありますが、日本人で資格を有している場合、ニューヨーク州弁護士であることが圧倒的に多いです。これは、ニューヨーク州司法試験の受験資格が日本人にとっては満たしやすいからという理由によります。
ところで、アメリカの大学にはいわゆる法学部が存在しないことをご存知でしょうか。つまり学部レベルで法律を学ぶことは基本ないのです。本格的に法律を学ぼうとする場合、アメリカではロースクール(Law School)という大学院に進学する必要があります。司法試験を受けるためにも、基本的には、学部で4年(これは何学部でも構いません)、大学院の博士課程として3年間勉強しなければならないのです。この博士課程をJuris Doctor(J .D.)といいます。
しかし、外国で学部やロースクールを卒業した者は、3年間のJ.D.ではなく、1年間の修士過程を受けることができます。これをMaster of Law (LL.M.)といいます。日本でロースクールを卒業した人や日本の弁護士資格を有している人が留学などする場合、このLL.M.に行くのがほとんどです。
ただ、アメリカの大学におけるLL.M.の学位だけで司法試験が受験できる州は多くありません。受験資格を認める州の代表例がニューヨーク州なのです。
なので、日本人でアメリカの弁護士資格を有している方の多くはニューヨーク州弁護士なんですね。
ちなみに、小室圭さんはFordam大学のLL.M.のみならずJ.D.も修了し、7月にNY Barを受験したようです。J.D.はネイティブの学生と一緒のコースなので、日本人にとっては本当に大変なコースです。大変な努力をされたのではないかと推察します。
日本では考えられませんが、NY Barの合格発表日などは決まっておらず、7月の受験の場合、10月下旬から11月上旬頃に発表すると大雑把に言われています(ちなみに試験は7月と2月の年2回実施されます。)。なので、この頃になると気が気ではありません。合格通知自体も登録したemailアドレスに深夜突然届くので、本当に予測ができません。小室さんも無事合格されることを祈っております。
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