ニューヨーク州司法試験の概要解説!

司法試験関係

小室圭さんの報道で注目を集めているニューヨーク州司法試験ですが、具体的にはどういう試験のなのでしょう?

ロースクールや法律事務所に関する情報も併せて、解説します。

アメリカのロースクール

ニューヨーク州をはじめアメリカで司法試験を受験するためには、基本的にはアメリカのロースクールを卒業していなければなりません。

アメリカにはAmerican Bar Association(アメリカ司法協会)という日本の日本弁護士連合会のような自治団体があり、このABAが承認したロースクールが2021年10月時点で199校あります。

日本には現在68校のロースクールがあります。日本に比べるととても多いですね。

アメリカのロースクールについては、US Newsが毎年ランキングを発表しています。

TOP10は以下のとおりです。

1. イェール大学(コネチカット州)

2. スタンフォード大学(カリフォルニア州)

3. ハーバード大学(マサチューセッツ州)

4. コロンビア大学(ニューヨーク州)

4. シカゴ大学(イリノイ州)

6. ニューヨーク大学(ニューヨーク州)

6. ペンシルバニア大学(ペンシルバニア州)

8. バージニア大学(バージニア州)

9. カリフォルニア大学バークレー校(カリフォルニア州)

10. デューク大学(ノースカロライナ州)

10. ミシガン大学アナーバー校(ミシガン州)

ちなみに、小室さんがご卒業されたフォーダム大学(ニューヨーク州)は35位です。順位だけ聞くとそうでもないように思われるかもしれませんが、十分トップ校と言えるランクで、大手事務所に就職する卒業生も多いという印象です。

ニューヨーク州司法試験

概要

アメリカでは、アメリカ合衆国としての司法試験はなく、各州の司法試験があり、その受験資格の関係で日本人のアメリカ弁護士資格保有者はニューヨーク州が多いです。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

ちなみに、上記のランキングに各ロースクールが所在する州を記載しましたが、司法試験を受験する州とは一致している必要はありません。たとえば、カリフォルニア州にあるスタンフォード大学ロースクール卒なので、ニューヨーク州の試験が受けられないということはありません。

さて、試験概要ですが、まずは合格率を見てみましょう。

参考までに2021年の日本の司法試験の合格率は41.5%(受験者数ベース)でした。

これに対して2019年7月に実施されたニューヨーク州の司法試験の合格率は全体で65%でした

お?半分以上受かるなら簡単じゃない?と思われる方もいるかもしれませんし、実際にそう言われたりしますが、個人的にはやっぱり難しい試験だと思います。

先ほどの2019年7月実施の試験結果ですが、詳しくみてみると、少なくとも日本人をはじめとした外国人にとってはそんなに合格率が高いものでもないことがわかります。

「Foreign -Educated -First-Time Taker」(外国にて教育を受けた者ー初回受験者)の合格率は53%、2回目以降を含んだ「All Foreign-Educated (first~time takers & repeaters)」では43%です。

小室さんはJDという博士号を取得しているため、この外国にて教育を受けた者としてカウントされるのかどうか不明ですが、いずれにせよ、外国人の合格率はやはり下がることがわかります。日本に比べて受かりやすいという話は、実際に留学された日本弁護士がよく頑張って勉強する結果、合格して帰国することが多く、落ちたという方の方が少ないからだと思います。これも、本当にみんな受かっているのか?というとそうではなく、落ちた方はそういう話はあまりしたくないから聞かないというのもあると思います。正直、留学するのにも忙しい仕事の時間をうまくやりくりして英語を勉強し、各ロースクールに合格しなければならないため、留学できている時点で皆さん相当優秀かつ努力家だと思っています。

ところで、ニューヨーク州の司法試験は日本の試験と違い、年に2回、7月と2月に実施されます。ロースクールの修了は5月頃の学生が多いため、7月の試験の方が受験生が多いです。

2020年はコロナの関係で7月には実施されず、10月受験でした。これに伴い、合格発表も12月になったようですが、通常、7月受験の合格発表は10月下旬から11月上旬に発表されます。小室さんの合格発表について12月頃という報道もありますが、それは2020年がそうだったからということだと思います。2021年は例年通り7月実施であるため、10月下旬から11月上旬となりますので、そろそろですね。来週あたりにあるかもしれません。

試験内容

試験内容もかなりタフです。

試験は2日間にわたって実施されます。

初日の午前中は3時間でMPTという試験を受けます。これは、実際の事件のような記録(例えば、依頼者からのメール、過去の記録、裁判例など)を読んで指定された課題(例えば、依頼者への回答メール、意見書、裁判に提出する書面などの作成など)に答えるというもので全部で2問です。つまり90分で記録を読んで解答を作らなければなりません。資料もたしか何十ページかあったので、とにかく時間が足りません。もちろん英語で読んで、英語で回答するので、相当な英語力が必要です。

午後は3時間でMEEという筆記試験です。MPTと違って記録などはなく、シンプルな事例問題という感じです。ただ、全部で6問もありますので、一つの問題にかけられる時間は30分程度。しかも、各問題に小問もあったりして、例えば小問が3問あれば、一つの問題に対する解答時間は単純計算で10分。シンプルな事例問題とはいえ、A4一枚ぐらいの問題文ですから、ネイティブじゃない人にとっては、完全解はほぼ無理ゲーです。

二日目は午前、午後とそれぞれ3時間ずつMBEという択一問題を100問、合計200問解くというものです。これもとにかく時間が厳しいです。一問にかけられる時間は単純計算で約1分50秒程度。問題文は短いものも長いものもあり、トータルではかなり多くの問題文を読む必要があり、考える時間などはほぼありません。

ご興味がある方はこちらにサンプル問題があるので、ご覧ください。

以上が試験内容です。これは結構大変だ・・・と思われる方が多いのではないでしょうか。

アメリカの法律事務所の就職事情

最後にアメリカの法律事務所の就職事情をちょっとだけ紹介します。

小室さんは合格前に就職先が決まっており不思議に思われる方もいるかもしれませんが、アメリカの法律事務所では合格発表前に就職し、働き始めるのが一般的です。そのあと合格した場合は弁護士として勤務することになります。おそらく合格率が高いからこういうことができるんだと推測します。ちなみに一度落ちても、半年後に再試験を受けられれますので、一度ぐらいの不合格ではそのまま働き続けさせてもらえるというケースも多くあるようです。

日本でも大手事務所では合格発表前に内定を出したりもしますが、不合格の場合には取り消されるのが一般的ですし、実際に働き出すのは司法修習が終わった1年半後ですので、入所する時は弁護士です。事情が異なりますね。

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