「憲法」ってどんな内容?

法学入門

憲法は他の法律と違って、国に対して向けられた法律であるということを以前お話ししました。

今回は、日本の憲法、つまり日本国憲法ってどういう法律なの?という疑問に対して、大枠を答えていきたいと思います。

日本国憲法の概要

日本国憲法は全部で103条ある法律で、次のような章立てになっています

第1章 天皇(第1条〜8条)

第2章 戦争の放棄(第9条)

第3章 国民の権利及び義務(第10条〜40条)

第4章 国会(第41条〜第64条)

第5章 内閣(第65条〜75条)

第6章 司法(第76条〜82条)

第7章 財政(第83条〜91条)

第8章 地方自治(第92条〜95条)

第9章 改正(第96条)

第10章 最高法規(第97条〜99条)

第11章 補則(第100条〜103条)

皆さんがよくご存知なのは第2章第9条「戦争の放棄」かと思います。これは、日本が第二次世界大戦の経験から今後戦争はしないという決意表明です。大切な条文ですが、憲法の全体像を把握するという本ブログでは一旦説明を省略します。

憲法の大枠を把握するためには、①基本的人権と②統治機構という部分があるということを理解しておくのが良いです。

基本的人権

これは日本国憲法では第3章第10条から40条に定められています。つまり、国民が国家によって害されない権利として、基本的な人権(権利)を持っているということです。

これはつまり、国家に向けて、国民の権利を不当に制限してはダメですよ、と規定しているものです。

憲法と他の法律との違いで説明した平等権も、国民は国家から不平等に扱われませんよ、という基本的事件を定めているものです。

基本的人権としては、表現の自由(第21条)、学問の自由(23条)など他にも大切な権利が規定されています。

このように憲法のうち、第3章「国民の権利及び義務」には、基本的人権、つまり国家が奪うことができない国民の権利が規定されています。

この人権は歴史的に国家が侵害してきた反省を踏まえて作られていますので、その歴史を勉強するのもとても興味深いです。この点はまた機会があれば解説します。

統治機構

統治機構とは、要するに国がどういう仕組みでできているかということに関する規定です。これは、みなさんも勉強したことがある、いわゆる三権分立を基礎に、そのほかに地方との関係などを規定しています。

具体的には、統治機構は、第4章国会、第5章内閣、第6章司法、第7章地方自治からなります。

国会

まず国会というのは立法機関、つまり社会のルールである法律を作る機関です。

ルールは自分で作ったものを自分で守るというのが1番納得感があります。このように自分達が守るべきルールをつくる仕組みを民主主義といいます。

ただ、日本国民全員で決めることは、人が多すぎで難しいので、自分の代わりとなる代表者を選挙で選んで、その人に決めてもらいます。これが国会議員です。

この点については以下の記事もご参照ください。

内閣

内閣というのは総理大臣をトップとした行政権を担う機関です。

これは立法に比べるとちょっとイメージしにくいかもしれません。例えば、道路交通法という法律を作って速度オーバーしたら罰金や減点があるという法律を定めても、それを取り締まったり、実行したりする人がいなければなりません。これを行うのが警察などの行政機関であり、このように法律に定めたことを行う(執行)する機関を内閣といいます。

実際には各省庁の大臣などを定め、細いことは省庁が行います。

司法

司法とは、個別の法律適用について判断することです。これは裁判所が担います。

個別の法律適用というのはどういうことでしょうか?先ほど、法律の執行は行政が行うと言いました。そういう意味で行政も法律の適用を行なっていますが、これは個別性を考慮することなく、広く一般的に行います。

これに対して、司法は、個別の事件について、その適用が間違っていなかったかをチェックするところというのがわかりやすいと思います。

たとえば、スピード違反で罰金とされましたが、実はオービスが誤っておりスピード違反していなかったという場合、この個別案件では法の適用に疑義があるとして裁判をするのが司法です。

そういう意味で、司法は法の適用の最後の番人と言われたりします。つまり、適用に誤りがあったときにこれを正すことができる最後の機関ということです。

地方自治

地方自治とは、国レベルではなく、地方レベルについて定めている条文です。国レベルでは国会・内閣がありますが、もっと地方のレベル、たとえば、ある街の空き地をどうするか?などより市民に密着した問題については、地方レベルで国会のような議会を設置し、知事のような行政の長をトップにした機関が決められるということです。

国会、内閣、裁判所が国レベルの権力を三つに分けるものですが、国と地方で権力を分けるのが地方自治の規定です。

まとめ

細かいことも説明しましたが、まず、憲法を理解するには、大きく、①国民の権利を保護する基本的人権に関する規定と、②国の構造や、各機関のおおまかな役割を定める統治機構に関する規定でできていることを理解するとよいと思います。

今後ニュースなどをみたとき、いずれの規定に関することなのか、考えると本質がわかり面白いと思います。

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